近年の学術研究は、大容量かつ大規模なデータに対する高性能な計算処理をますます必要としている。計算機センターにおいては、そのような計算ニーズに答える高性能な計算機システムとして、汎用プロセッサに加えて、GPUやベクトルプロセッサ等のアクセラレータの導入が進んでいる。
一方、このような高性能計算機システムのユーザが書くコードは、プロセッサやアクセラレータの性能を十分に引き出せていないケースが多々存在する。多くのユーザはそれぞれの学術研究の領域の専門家であり、計算機システムの専門家ではない。そのため、ユーザがアクセラレータ等の複雑化する高性能計算機システムの性能を引き出すことが難しく、コンパイラ等のツールによる自動最適化技術による高速化に頼るか、あるいは計算機システムの識者に依頼してコード最適化を実施することとなっている。前者は計算機システムの性能、特にアクセラレータの性能を十分に引き出せていないケースが多い。また後者は性能を引き出すことができるようになるものの、最適化を実施する人員が十分におらず、また利用のための経済的コストの問題もあり幅広く実施されるに至っていない。そのため、この両アプローチのギャップを埋める重要性が増している。
本研究グループでは、コンパイラによる自動最適化では十分に高性能計算機システムの性能を引き出せていないユーザコードを対象に、ユーザ自身が高性能計算機システムの専門的な知識なしに性能最適化を実施可能なコード最適化支援技術の構築を目指す。